かまわぬについて

かまわぬのはじまり

1987年私たちは東京の代官山に、てぬぐいの専門店をオープンしました。

てぬぐいが持つ長い歴史や、文化的意義。大切に受け継がれてきた伝統技術。これらの魅力を広く伝え、人々の暮らしと心を、豊かにしていきたい想いがありました。

かまわぬは、てぬぐいの制作から販売、そして無限に広がるてぬぐいの使い方、柄に込められたメッセージを未来に伝えることで、みなさまの暮らしを豊かにするお手伝いをしていきたいと考えています。

屋号とロゴに込められた想い

かま

草や稲を狩るための農具

わっかの輪

ひらがなの「 ぬ」

屋号とロゴに
込められた想い

私たちのロゴは、農具の鎌(かま)に、わっかの輪(わ)と、ひらがなの「ぬ」を組み合わせて「かまわぬ」と読む判じ物。かまわぬは、江戸時代元禄の頃、町奴(まちやっこ)と呼ばれる江戸町人が「お構いなし」「構うものか」と、我が身を捨てて弱き者を助けるという心意気をあらわし、装束に用いたのがはじまりと言われています。

「かまわぬ」には「特別なお構いはできませんが、気軽にお立ち寄りください」という思いを込めています。私たちはお店に訪れてくださるお客様ひとりひとりに、気兼ねなく楽しいひとときを過ごしていただきたいと考えています。

かまわぬのこだわり

生活に寄り添うデザイン

私たちは、暮らしに取り入れやすく、タイムレスで飽きのこないデザイン性と道具としての実用性を兼ね備えたてぬぐい作りを目指しています。

時として、人と人をつなげてくれることもあるてぬぐい。てぬぐいのデザインには、日本に古くから伝わる文様に込められた大願成就、無病息災といった人々の願いをはじめ、手元にあると特別な気分に浸れる柄、心がやすらぐ柄、鼓舞してくれる柄などがあります。

かまわぬでは、常時250種類のてぬぐいをご用意しています。その中から、あなた自身や、大切な方へ贈る1枚を見つけていただきたいと、私たちは日々想像しながらデザインを生み出し続けています。

かまわぬのこだわり

明治から受け継がれる職人技術

かまわぬのてぬぐいの多くは、明治時代から続く日本独自の染色技法「注染(ちゅうせん)」を用いて染められています。各工程で専門の職人たちが優れた技を持ち寄り、チームワークが不可欠とされる分業制によって、てぬぐいは出来上がります。

およそ20mの反物を90cmごとに折り返し続けながら、粘土と海藻を混ぜたペースト状の防染糊を置き、マスキング。折り重ねた反物の上から染料を生地に注いで下まで一気に染めていくさまから、「注染」という呼び名が生まれました。

糸の芯まで染料を通すことで、裏表がなく、リバーシブルに使える実用性の高いてぬぐい。注染てぬぐいの特徴のひとつである経年変化によって、使うごとに色落ちがすすみ、独特の風合いに変化しながら、手に馴染んでいきます。風合いが変わる過程を、ゆっくり楽しみながらお使いください。

注染から生まれる「遊び」

多くの工程が手作業で作られる注染のてぬぐいからは「遊び」が随所に感じられます。注染の染め方にはいくつか種類があり、1つの型紙で多色を染める「差し分け染め」や、独特のゆらぎや優しいにじみを生み出す「ぼかし染め」など、多様なデザインを再現するためにさまざまな染め方が発展してきました。

てぬぐいの柄を染めるための染料や防染糊は、その日の天候・気温・湿度の影響を受けやすく、同じように染めても、色合いや柄の表情にわずかな“遊び”が生まれます。

日々変化する工場の環境と、その中でベストを目指す職人のたゆまぬ努力。職人の技術と自然の調和によって、てぬぐい一枚一枚に生じる注染ならではの「遊び」から手仕事のぬくもりを感じることができます。

1つとして同じてぬぐいはない──。
これが、注染てぬぐいの魅力のひとつです。使い込んだてぬぐいは、まるで暮らしの相棒のような、あなたにとって、なくてはならない1枚へと変化していくことでしょう。

色落ち

経年変化前

色も柄も鮮明です。

経年変化後

色が落ちて使用感が出ています。

フリンジ

経年変化前

使い始めは、ほつれが都度でてきます。よこ糸をハサミでカットすればOK

経年変化後

端から約1cm~2cmのところで自然に止まった状態。フリンジができあがると「てぬぐい」は完成となります。

生地の風合い

経年変化前

使い始めは、上総理の生地ならではの少々肉厚でざっくりした手触り。

経年変化後

繊維がほぐれ、くたっとしたなめらかな手触りに。

染めが生み出す線の振幅

デザインの再現性の違い

柄を染めるために、防染糊(ぼうせんのり)と呼ばれる粘土と海藻を混ぜたペーストを使用します。この防染糊の品質は気温や湿度に大きく左右されるため職人が都度、糊のかたさを調整しています。糊付け後の自然条件の変化によって同じ柄でもわずかにデザインの表情が異なります。私たちはこれを「手作業の証」としてお伝えしております。

環境保全への取り組み

てぬぐいが作られるまでの過程を蔑ろにしないこと、そして繰り返してぬぐいを使うこと。気付けば、その全てが環境に配慮した豊かな暮らしへとつながっていきます。

サステナブルという言葉を耳にして久しいですが、私たち日本人は江戸時代から「循環型社会」を実現してきました。たとえば、てぬぐいもその一つ。もともとは浴衣の反物の切れ端を、てぬぐいとして利用してきました。限りある資源を大切にしたいという思いから、かまわぬでは本来、規格外のものとなってしまうてぬぐいに新しい価値を施すことで、廃棄ロス削減の課題にも挑戦を続けています。

かまわぬから誕生した「てぬぐいエコバッグ」は、規格外品てぬぐいを生まれ変わらせたアップサイクル商品。その他にも、生産過程でわずかに染めムラや色ぶれが起きてしまったてぬぐいに、「オーバーダイ」という後染め技法を施した「オーバーダイてぬぐい」の取り組みもはじめました。豊かな世界へとつながるエシカルな暮らしのために、できることから一歩ずつ進めてまいります。

てぬぐいの魅力を、みなさまの暮らしに。

私たちは、この一枚の布に込められた魅力と可能性をみなさまにお届けするため、これまでにさまざまな活動を行なってきました。

多種多様な業界の企業様とのコラボレーションや、ユーザーの「こんな柄がほしいな」を形にするデザインコンテスト。かつては、移動販売車「CARまわぬ」を各地に出店し、さまざまエリアのお客様にてぬぐいをお届けしてきました。現在では国内の活動のみにとどまらず、国を越えててぬぐいを届ける「Kamawanu Global Online Store」が開設されました。

みなさまの暮らしが、より彩り豊かなものとなるように、私たちはこれからも“型にはまらない”自由な発想と柔軟な活動で、てぬぐいの魅力を社会にさまざまな形でご提案してまいります。