かまわぬ手帖 vol.10|晒、しろ

かまわぬ手帖 vol.10|晒、しろ

新しい年の始まりは、真っ白な “さらし” にまつわるお話し。天然の木綿は生成(きなり)色で、何も手を加えていない状態では淡い黄色をしています。生成の糸や生地には、綿花を覆っている綿殻のかけらなど茶色い粒が織り込まれていることも。 ナチュラルな風合いですが、真っ白ではなく模様を染める生地としては染め難さがあります。

そこで施されたのが晒(さらし)です。
古くは布を灰汁で煮て、河原などに広げ日光にさらす「天日晒し」という原始的な方法が用いられていました。布が乾燥すると打ち水をして、さらに日干しを繰り返します。雪の上で晒す方法もあったそう。太陽の光の働きによって漂白しますが、大変手間と時間を要するものでした。

現在では、木綿の繊維に含まれる脂質や不純物・色素などを取り除く加工をしています。ただし日本てぬぐいに使う晒は、生地の柔らかさや毛羽立ちを損なわないよう精練されています。一方、晒の加工を施さないものは未晒(みざらし)と呼ばれ木綿本来の風合いを残しているため、近年人気のあるオーガニックコットンでは、木綿の特徴を生かしたものも多く見られます。

晒木綿は、手ぬぐいの生地としてはもちろん用途はいろいろ。安産祈願の腹帯やお祭りのさらし巻きに、また調理用具として蒸し料理などにも活用されています。

かまわぬでは、まっさらな晒に多様なデザインを染めています。白地の手ぬぐいには清々しい印象があり、ぼかしや多色染めなどの華やかな柄とは違った良さがあります。あらためて白地の手ぬぐいを見直してみませんか。

次回、更新予定は2月5日(日)です。