第2回のテーマは、てぬぐいとは何か? その字のごとく手や体を“ぬぐう”ために使われてきた、てぬぐいの大きさや特徴について掘り下げていきましょう。
【てぬぐいの大きさ】
江戸時代、綿花の栽培が盛んになり庶民の間に広まっていったてぬぐい。最初のころは反物を好みの長さで測り売りをしていましたが、その後てぬぐいのデザインの発展に伴い「切り売り」が始まります。大きさは「一尺三尺」(1尺は約30.3㎝)。センチに直すと約30㎝ × 90㎝、現代のてぬぐいとほぼ同じ大きさです。
現在作られている主なてぬぐいの大きさは、長さ約90~100cm 幅約33~36cmで、素材や用途によって使い分けされています。
かまわぬのてぬぐいは「約33㎝ × 90㎝」。江戸の頃とほぼ変わらず、今も使われ続けています。
【生地について】
晒木綿(さらしもめん)
通常の木綿は生成(きなり)色。綿脂や綿の実や殻などの不純物が含まれています。生地の不純物を取り除く加工を施し、白くするために精練した生地を「晒(さらし)」と呼びます。
江戸時代は、灰汁で煮る/綺麗な水で洗う/日干しするという作業を、数カ月繰り返していたそうです。上質な晒を作るために大変手間をかけていたのですね。
総理(そうり)
かまわぬのてぬぐいは、おもに上総理の生地を使っています。
20番手の糸を織った平織布。しっかりとした厚みもありつつ、ざっくりとした織りで乾きが早いのが特徴です。
木綿糸は撚り(より)を掛けていますが、晒に使われるのは「弱撚糸」で、ねじりの少ない糸を使っています。さらに使っていくうちに撚りが戻ってくるため、糸がふっくらとして、もともとの「綿(わた)」に近づいていきます。このため柔らかな手触りが楽しめるのです。
【てぬぐいの特徴】
木綿は吸水性・保水力にすぐれた布です。てぬぐいの生地を虫めがねで見てみると少し毛羽立っていて、これが水分を吸い取る役目をしています。洗う度にふんわりと柔らかくなり、吸水性もアップしていきます。
てぬぐいの両端は「切りっぱなし」。縫い目が無いため水分がたまりにくく乾きが早いのが特徴です。高温多湿の日本の気候において、雑菌を繁殖させづらくし清潔を保つという先人の知恵が、今も受け継がれています。
切りっぱなしの生地で心配される「ほつれ」ですが、だいたい5~10mmで止まります。
フリンジの隣り合う糸同士の繊維がからみあって横糸が抜けにくくなり、ほつれも止まる仕組みです。洗濯の際に糸が出てきたら、フリンジは残して長く出た糸だけ切るようにしましょう。
てぬぐいは、包む・敷く・飾る などなど、多目的に使える万能の布。
“ぬぐう”だけではない、懐の深さが魅力のひとつです。
てぬぐいは長く使う間に、くたくたと柔らかくなり色も落ちていきます。
使い込まれたてぬぐいには、古くなっただけではない味わいが生まれ、手放せない1枚に。
仕上がったてぬぐいのことを私たちは“ビンテージてぬぐい”と呼んでいます。
デニム同様、扱い方次第で風合いも変わり、使い続けたてぬぐいは色も手触りも格別です。
あなただけのてぬぐいを育ててみませんか。
身近にあるてぬぐいも、背景を知るとより愛着が湧いてきますね。
次回更新は、6月5日(日)予定です。