自分で選んだり、誰かにいただいたりして、気づけば我が家にやってきた一枚のてぬぐい。さて、どんなふうに使おうか。
デザインや手触りを楽しみながら愛着を持って使ったてぬぐいも、徐々にくたびれていきます。今回は、てぬぐいの一生をたどっていきたいと思います。
第一章
張りのある生地に鮮やかな色柄。まだデビューしたばかりの新しい手ぬぐいです。バッグに忍ばせたり、スカーフ代わりに巻いてみたり。額に入れて飾るのも、新品ならではの楽しみ方です。暮らしに「てぬぐい」という彩りが加わると、ちょっとした日常がいつもより楽しく感じられます。
主な使い方
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持ち歩く
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ファッションアクセサリーとして身につける
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飾る
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手を拭く
第二章
生地もこなれて柔らかくなり、使い心地がぐっとよくなる頃。色が少し薄くなったり、日焼けして色あせてしまったり、お洗濯で少し失敗してしまったりしても、それもまた日々の暮らしの証です。
主な使い方
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目隠しカバー:棚や引き出しの中を隠し、暮らしの裏方として活躍
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ホコリよけ:デスクトップパソコンやテレビなどほこりを防ぎたい場所に
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ふきん:柔らかくなった生地は手に馴染み、日々の食器拭きにぴったり
色が少し薄くなって、お出かけ用から徐々に自宅使いが多くなっていきます。布の質感はふっくらと柔らかくなり吸水性もアップしていくので、ふきんとして食器拭きにもおススメです。
第三章
かなり年季が入ってきました。長く使った分、汚れやキズも気になります。色落ちもして絵柄は薄くなりますが、そのかわりに生地はふわふわと柔らかく馴染んでいきます。
主な使い方
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温泉や銭湯に:ふわふわで肌触りもスムーズ
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靴磨き布や道具の手入れに:汚れもからめとってくれます
色落ちもほとんどなく、温泉や銭湯に持っていくのにぴったり。暮らしの裏方として静かに力を発揮する時期です。
最終章
使い込まれて少し薄くなったてぬぐい。頼りなく見えるけれど、それでも最後の最後まで、暮らしに寄り添ってくれます。けれど、てぬぐいの物語はここで終わりではありません。
主な使い方
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雑巾…日々のちょっとしたお掃除に
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小さく切ってウエスに…道具や家具のお手入れに
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はたき…高いところのほこり取りに
裂けば、暮らしの一部として最後まで役立ってくれるのも、手ぬぐいならではです。ここまで共にしてきた”相棒”を裂くのは気が引けるという方には、ビンテージてぬぐいとして使うのもおすすめ。とことん色を落としてもよし、ふわふわに育ててもよし。暮らしの中で少しずつ変化を楽しみながら、あなただけのてぬぐいの物語を紡いでいけます。
長く大切に使うことで、暮らしに欠かせない存在へと変わっていく。
限られた資源の中で長く愛着を持って使う――。今の時代に必要なことなのかもしれません。
次回は11月5日(水)の更新予定です。どうぞお楽しみに。