残暑が長引き、秋を感じにくくなってきた近頃。そんな短く貴重な秋のひとときを、てぬぐいを通して日常に取り入れていただけるよう、デザインチームが2025年秋の新作を制作しました。今回は、制作の裏側やデザインに込めたこだわりについて、デザインチームにインタビューしました。
今秋のテーマは何ですか?
今秋のテーマは、「立ち止まって、季節を感じる」です。
「秋がなくなった」とささやかれるほど、残暑が長引いたかと思えば急な冷え込みが訪れる――。 季節の移ろいを感じにくくなってきた、この頃。だからこそ限られた秋のひとときを、てぬぐいで表現できたらという想いで、柄づくりに取り組みました。
「天高く馬肥ゆる秋」と言われるように、過ごしやすく、実り豊かな季節。 気づけばすぐに通り過ぎてしまう秋の気配を、てぬぐいを通して日々のくらしに取り入れていただけたら嬉しいです。
デザインの中で特にこだわったポイントや工夫した点はどこですか?
“実りの秋”や“紅葉”といった秋の定番モチーフがある中で、今回はそこに新たな視点を添えたいと思い、「空」にも目を向けてみました。 秋は空が澄み渡り、ひときわ美しく感じられる季節です。ギラギラと照りつける夏の日差しの間は見上げることのなかった空に、ふと目を向けると、秋ならではの景色が広がっていることに改めて気づかされました。
ふわりと浮かぶ“ひつじ雲”や“うろこ雲”といった秋の雲は、情緒豊かな名前とともに、日本人の繊細な感性を映し出しています。 そんな雲を眺めたときの、ちょっと立ち止まって季節を味わうような感覚を、てぬぐいの中にとじ込めました。
また、秋の風物詩といえばお月見。澄んだ夜空に浮かぶ月を眺めると、どこか心が静まり、季節のうつろいも感じさせてくれます。これまでも月をモチーフにした柄はいくつか制作してきましたが、今回は “日常の中で月を楽しんでもらいたい” という思いから、小紋柄として新たにデザインしました。
月の満ち欠けの様子を連続模様の中で表現し、日々移り行く月の表情を、一枚のてぬぐいにそっと映しとりました。てぬぐいを通して“ちいさな秋”に出会っていただけたらと思います。
今回のコレクションを通して、デザインチームが改めて気づいた“秋の魅力”があれば教えてください。
今回のコレクションを通して、私たちが改めて感じたのは、 秋の魅力は「さりげない豊かさ」にあるということです。澄んだ空や色づく木々、旬の味覚―― そうした日常の中にふと現れる秋の気配が身の回りに溢れています。秋は移ろいやすく、つかの間の季節ではありますが、 だからこそ暮らしの中でその美しさを感じられるような一枚になれたらと思っています。
今回は、2025年秋コレクションの新作てぬぐいが生まれるまでのお話をお届けしました。 是非、この秋を彩る一枚を見つけてみてくださいね。
次回更新は10月5日(日)を予定しています。